心房細動の治療

心房細動はどうやって治すの?

心房細動の治療には、一般的に「薬による治療」「カテーテルアブレーション治療」「外科的治療(メイズ手術)」の3種類があります。ここではそれぞれどのような目的で、どのような治療が行われるのかを解説します。

治療方法① 薬による治療

心房細動は、異常な電気信号が発生していることから、心拍数(脈)が速くなったり心拍数が不規則になったりします。そこで、心拍数を調整する「レートコントロール」や、心拍数が規則正しくなるようにする「リズムコントロール」などを行います。

また、心房細動の発作が起きると、心房の中に血液が滞留してしまうため、血栓ができやすくなります。血栓を予防するために抗凝固薬が処方されることもあります。

これらの薬は、心房細動を根治するための薬ではありません。そのため、心房細動の疑いがある間は、継続して服用する必要があります。

方法① 薬による治療 方法① 薬による治療

レートコントロール

心室に伝わる電気信号を減らして心拍数が速くなりすぎるのを抑える薬です。心房細動自体を止める薬ではありませんが、心拍数が正常に近づくので、動悸や息切れなどの自覚症状が軽減します。
一般的には、ジギタリス製剤、カルシウム拮抗薬、β遮断薬などと呼ばれる飲み薬が処方されます。

リズムコントロール

心臓に直接作用して、心房細動の発作を止めたり、心房細動の発作を予防したりする薬です。心房細動は、心拍数(脈)が不規則になる不整脈と呼ばれる症状の1つなので、リズムコントロールに使用される薬は、抗不整脈薬と呼ばれます。
一般的には、飲み薬として処方されます。

抗凝固薬

血栓ができると心原性脳梗塞を引き起こすリスクが高くなります。心原性脳梗塞を予防するためにも、血栓を予防する抗凝固薬という飲み薬が処方されます。

治療方法② カテーテルアブレーション治療

カテーテルアブレーション治療(アブレーション治療)とは、心房細動の原因となっている異常な電気信号を取り除く治療法です。全国の医療施設で年間およそ6万件以上施行されており、心房細動の根本的な治療(根治術)として、現在一般的に行われているものです。

一般社団法人日本循環器学会 循環器疾患診療実態調査(2016年度実施・公表)より

心房細動の原因となっている不規則な電気信号は、主に心臓の左心房に続いている肺静脈という血管付近から発生していることがわかっています。そこで、アブレーション治療では、肺静脈周辺の心筋の表面をやけど状態または凍傷状態にして異常な電気信号が伝わらないようにします。この治療方法のことを「肺静脈隔離術」といいます。

方法② カテーテルアブレーション治療
心房細動に対するカテーテルアブレーション治療
(肺静脈隔離術)

治療方法③ 外科的治療

心房細動の根本的な治療(根治術)として、歴史のある治療法です。
全身麻酔をかけ、胸を開いて、心臓の様子を直接医師が目で確認しながら、心房細動の原因となる異常な電気信号が心臓の中に伝わらないようにするための手術を行います。
胸にメスを入れて開ける必要があるため、他の外科手術を行う際に一緒に行われる場合が多く、最近では、心房細動だけの治療として行われる割合は低くなっています。

方法③ 外科的治療 方法③ 外科的治療
PAGE TOPPAGE TOP